脊柱矯正術の1回目手術(土台作り)から3日目。ようやく身体の激痛が落ち着き始めた頃、入院中のQOL(生活の質)を大きく左右する「リハビリテーション」がいよいよスタートした。
今回は、リハビリの第一歩と、担当の理学療法士さんから告げられた重要なアドバイス、そして「入院前の体力作り」がいかに術後の自分を救うかについてお伝えしたい。入院とリハビリに対して不安を抱えている方には、ぜひ読んでほしい内容だ。
担当理学療法士は過去の記録まで読み込むプロ、その姿勢に感動
朝の予定連絡で知らされていた通り、午前11時に担当の理学療法士(PT)さんが私のベッドサイドに現れた。担当のAさんは、長い髪をポニーテールにまとめた、ハツラツとした印象の若い女性だ。
挨拶もそこそこに話を始めて驚いた。彼女は、今回の手術内容だけでなく、7年前の入院時の記録まで読み込んでいたのだ。
「前回の脊柱菅狭窄症手術の経過も拝見しました。今回は前回と違って固定域が増えますので……」と的確に状況を把握している彼女の姿勢を見て、私は直感した。「この方なら、私の身体を安心して任せられる」と。この信頼感こそが、不自由な入院生活におけるQOLを支える土台になるのだと感じた。
自分を救ったのは「入院前のトレーニング」だった
初日のリハビリは、ベッドの上で寝たまま足の状態を確認し、軽い運動を行うところから始まった。
私は現状、下半身をほとんど自力で動かせない。そのため、寝返り一つ打つのも上半身の力に頼り切っていることを伝えた。そこで改めて気づいたことがある。入院前に意識的に行っていた筋力トレーニングのおかげで上半身を鍛えていたので、今の動作が楽にできているのだ。
「入院前に体力をつけておいて、本当によかったですよ!」
私がそう話すと、Aさんも深く同意してくれた。「入院前の体力アップは非常に重要ですよね。」とのこと。これから手術を控えている方には、ご自身で可能な範囲でよいから、少しでも筋力をつけておくことを強くおすすめしたい。術後の初動が全く違ってくるからだ。もちろん回復ペースも早くなる。
気をつける必要がある「腰を使わない」動き方の鉄則
身体を動かしながら、Aさんから今後の動作について注意点を言い渡された。これは脊柱固定術を受ける患者にとって、退院後も続くかもしれない「鉄掟」だ。
- 腰を支点にして動かさないこと
寝返りや起き上がりなど、つい腰を捻ったり曲げたりしたくなるが、それNGだ。
- 股関節で身体を曲げることを心がけること
お辞儀をする時も、座る時も、腰ではなく「股関節」を軸に使う。
腰を固定するための手術をしたのだから、腰を動かしてはいけない。言葉では分かっていても、長年のクセでつい腰を動かそうとしてしまう。これからのリハビリは、この新しい身体の使い方を脳と筋肉に刷り込んでいく作業なのだと実感した。
始まったばかりの「二人三脚」
会話をしながらの動作確認だったこともあり、初回のリハビリは予定よりも短めで終了した。起き上がっての訓練ではなかったため「初回はこんなものか」と少し拍子抜けしたが、これが長いリハビリ生活の幕開けだった。
この時の私はまだ気づいていなかった。この病院で、執刀医である主治医と同様に私を注視し、この病院で私の回復と入院生活の質を共に支えてくれる「最もお世話になる存在」に彼女がなるということを。
リハビリは、自分との戦いであり、理学療法士さんなどのパートナーとなる方々との協力作業だ。
身体が動かないもどかしさはあるが、プロが伴走してくれる心強さを得て、私は次回手術の不安を払拭して少しずつ前を向き始めた。次回は、2回目の本番手術直前の、嵐の前の静けさのような時間について振り返りたい。